バトルロワイアル 二話目

「死にたく無いと思うのは、皆同じだよな」
「・・・うん」
「でも、死ななきゃいけないんだとよ」
「・・・うん」
「俺はお前を殺してまで生きたいとは思わない」
「あたしもアンタを殺したくない!」
とある海岸の崖っぷちギリギリの所で、俺と彼女は海をバックに見つめ合っていた。
ただそれだけなら最高のシチュエーションだが、会話の内容はあまりにも残酷な現実を確かめ合っていた。
「・・・こんな事、本当は言いたくねぇんだけどよ・・・」
「・・・何?」
「一緒に、二人で自殺しよう」
「え・・・。それって、心中って事・・・?」
彼女のチャームポイントでもある大きな瞳が、揺らいだ。
しかし俺は今にも掠れていきそうな声を絞り出して喋り続ける。
「お前無しの世界で、俺は生きられない。なら、それなら、せめて一緒に死にたいんだよ・・・!」
「良いわよ」
いつもより一際穏やかな声音で、彼女は言った。
「あたしでよかったら、一緒に死んで・・・?」
「・・・バカ、俺のセリフだっつーの・・・!」
思わず、涙が零れ落ちた。
そしてお互いに顔を見合わせて笑う。
「愛してる」
「あたしも、愛してる!」
硬く手を繋いで、崖から飛び降りた。
愛しい彼女。生まれ変わっても、また一緒になりたいな・・・。

______二人を飲み込んでも、なお波は荒れていた。

「死亡者四人・・・。そのうち二人は分かるけど、もう二人は・・・」
携帯に送られてきた死亡者人数のメール。
【死亡者四人】
それ以外は何も書かれていないため、誰が死んだのかという事は分からなかった。
死んだ会長と妹を思い浮かべてから、もう二人を考える。
「たぶん・・・あの二人よね」
幼馴染に言われて、僕は頭に親友とその彼女を思い浮かべた。
「その二人で間違い無いと思うよ。・・・じゃあ、僕たち二人を抜かした後二人は、何しているだろうね・・・______」

「よし、決めたナリよ!」
ボクはいつもより明るい声で言い切った。
「何を?」
隣にいるボクの大好きな親友は、訳が分からないとでも言うように小首をかしげる
「ボクのだーい好きなお姫様を守るために、ボクは騎士(ナイト)として戦いに行って来るよ!ね、良いよね!」
ボクの言う[お姫様]が自分を指している事に気付いたのか、息を詰まらせる親友。
しかし、平然を保とうとしていつものように振舞おうとしている。
「何を言っても聞かないクセに」
「聞かないよ。大切なものを守るためだもん」
「私を見捨てて、自分が生きて」
「嫌。ボクが皆を殺して、最後に君を見ながら死にたいし」
今までの言葉に嘘偽りは一切無い。
それを知っているからこそ、親友はポロポロと涙を零し始めた。
「・・・馬鹿っ」
「うん。だからさ、また後で会おうナリ!」
ボクは武器を持って、笑顔で手を振った。

   [残り四人]